2026.01.14
毎日通うパン屋の、その先にある仕事
― ビッグママで働く加藤美枝さんに聞く ―
拠点の利用者が、「今日はどのパンにしようかな」と言いながら、
毎日おいしいパンを求めて立ち寄るパン屋さん。
当たり前のようにあるその風景の裏側には、パンづくりに向き合う人の思いがあります。
今回は、合同会社ビックママで働く代表社員の加藤美枝さんに、
仕事に関することや、これまでの経験について伺いました。
JR長町駅からほど近い場所にある合同会社ビックママ。
創業から20年、地元の人に親しまれてきたパン屋として、
障害福祉サービス事業「ビッグママ」と就労支援B型事業所「ビッグサン」の二つの事業を行っています。

働く場を支える福祉の役割も担うビッグママで、約17年にわたり現場に立ち続けてきた加藤美枝さん。
障害福祉サービスとしてのパンづくりに込めた思いを聞きました。

パンづくりの作業は、利用者さんにとって、考えながら手を動かす大切な時間です。
工程を一つひとつ覚え、人と声を掛け合いながら進める中で、
同じ作業を繰り返すうちに、自然と手の動きが身につき、できることが少しずつ増えていきます。
また、パンづくりだけでなく、編み物やかご作りなどのクラフト制作に取り組む人もいます。
完成した作品は店内に並び、お客様の手に渡ります。
手作りの商品を通したお客様とのやりとりも、この仕事ならではの楽しさのひとつです。
また、無理なく関われる働き方についても、加藤さんは丁寧に伝えてくれました。
立ち仕事が大変な人や、長い時間の作業が難しい人もいるため、
作業は一人ひとりの特性や体調に合わせて分担しています。
利用者さんと話しながら目標を決め、少しずつ勤務時間や回数を増やしていくことで、
それぞれのペースで社会への一歩を踏み出せるよう支えています。
パンづくりを通して、働くことの手応えを実感できる場が、ここにはあります。
『自分たちの作ったパンを、お客様に“おいしい”と言ってもらえるのがやりがいです』
そう語る加藤さんの表情は、どこか和らいでいるようでした。
ビッグママで長く愛されているパンの一つが、「天ぷらパン」です。
このパンには、工夫から生まれた誕生の背景があります。

あんぱんやカレーパンに衣をつけて揚げるこのパンは、
注文を受けてから揚げるため、出来立てのサクサク感が魅力。
香ばしい匂いに誘われて、思わず足を止めてしまいます。
この天ぷらパンの始まりは、「千成屋」というパン屋さんでの工夫でした。
時間が経って固くなってしまったパンを、
天ぷらのように揚げてみたことがきっかけだったといいます。
東北高校ではおよそ25年にわたり販売され、
早い時間に売り切れてしまうことも珍しくありませんでした。
「幻のパン」と呼ばれるほどの人気は、今も語り継がれています。
最後に話題に上がったのが、フードロスへの取り組みです。
ビッグママでは、パンづくりと同じように、フードロスを減らす工夫も大切にしています。
製造過程で出たパンの耳は、そのまま捨てるのではなく、袋詰めにしたり、
ラスクに加工したりして、商品として生まれ変わります。
さらに、製造数を必要な分に抑えることで、売れ残りによる廃棄をできるだけ出さないようにしています。
こうした取り組みの積み重ねが、食べ物を大切にする意識につながっています。
拠点の利用者が、何気ない日常の中で立ち寄っているパン屋さん。
その裏側には、働くことの手応えを大切にしながら、一人ひとりの歩みに寄り添う現場がありました。
今日もまた、ビックママにはパンの焼ける香りと、誰かのおいしいが重なっています。

~インタビューをしてみての感想(ふれあい広場サテライト利用者 高校生)~
フードロスについて興味があったのですが、経営するうえでどのような取り組みが行われているのかを
伺える機会はなかなかないため、今回のインタビューはとても勉強になりました。
特に「いかに適切な量を仕込めるか」というお話が印象に残っており、
ビックママさんだからこそできる取り組みだと感じました。
余ったものをどうするかを考えるのではなく、そもそも余らせないように作る
という考え方は、家庭でも取り入れられると思います。
使い切れる分だけ買い、食べられる分だけ作ることで、
私自身もフードロス削減に貢献していきたいと考えました。
今回は貴重な機会を頂きありがとうございました。
ボランティアをはじめたい方、平日の日中の時間帯に参加できる方、
自分の趣味や得意なことを活かしたい方、もちろん未経験でも大丈夫です!







