2026.03.17

【vol.17】人生の舵を自分でとって、やりたいことをやっていい

ヤングケアラー経験のある”ちょっと先”の先輩の経験談。

ピアサポーターである彼・彼女たちの経験や想いを聞いてみました。

両親と3人暮らしをしていた市村さん、小学生の頃に母が病気になり闘病を支えていました。

それから29歳になる現在まで、どのような気持ちの変化があり、今はどんな夢を持っているのでしょうか。

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-母の闘病と両親の死

僕が小学2年生の時に母が乳がんになりました。
  
病気が分かってから、僕にとって母は頼れる存在ではなくなりました。
守る存在、気にかける存在になった、という感じです。

母は病気になってから、1年置きに入退院を繰り返していました。
入院中は、学校が終わると祖父の車で病院に行き病室で母と過ごし、仕事が終わった父が迎えにくる、という生活。
   
病院に行かない日は、父の帰りを家で一人で待つような生活でした。

  

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母が入院するかどうかが、僕にとって、その年が安心して終われる年か、いい年かどうかの基準になっていました。
     

母の闘病中に僕が何か家のことをしたり、母の介護をしたりということはなかった感覚ですが、
掃除や洗濯は当たり前のようにやっていました。

また、闘病が続くうちに、年々母のメンタルケアを担うことが増えていきましたね。

小学校2年生から、母が亡くなる中学3年生まで、
特に母の容態が悪い時期の僕は、「心ここにあらず」という感じでした。
    
何をしていても心の底から楽しめない感じというか、
どことなく曇っているような感じです。

母の病気のことは、友達にも先生にも、1度も話したことがありませんでした。

かわいそうと思われたくなかったんです、普通でいたかった、、

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中学1年生からは同じ市内に暮らす祖父母と一緒に暮らし始めました。
    

母は僕が中学3年生の10月に亡くなったのですが、数カ月後の翌年1月に父も亡くなりました。

父が病気であることは分かっていましたが、
余命宣告をされるような重い病気だと当時の僕は知りませんでした。
   
それは父が僕を気遣ってくれて様態を絶対言わないようにと祖父母に口止めをしていたんです。

母が長く闘病していたのに対し、父の死は僕にとって、
とてもあっけなかったです。
  
なるべく家にいてくれようとしていたこともあって、
入院していた期間もとても短かったです。

-高校生になって 

中学3年生の終わりに両親が亡くなり、進路について考える時期でしたが、そういう気力はなかったですね、精神的にも。
   
あまり考えず一番近い私立高校に入学することになりました。

小学2年生から中学3年生まで、ずっと母の心配をしてきたので、肩の荷が下りたと感じました。

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高校生になって、初めて「自分の人生の舵を自分で取り始めた」という感覚です。
   
この頃から圧倒的に楽しめるようになりました。

祖父母も好きにさせてくれて、いい意味で遊ばせてくれました。
   
二世帯住宅で祖父母と3人暮らしだったので、半分ひとり暮らし状態でした。
洗濯や掃除等の身の回りのことは適当に自分でしていました。

今思うと、大学生みたいな暮らしをしていましたね。
夜に友達と集まって遊んで、朝方帰ることも多かったです。

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やりたいことをやってみることって大事なんだなって思います。
   

何して遊ぶかとか、誰と遊ぶかが変わったわけではないですが、心が違いました。
   
高校生になってからは、遊ぶことに集中できているなという感じがしました。
 

-当時を振り返って

高校生時代から卒業して就職して、それからの20代半ばまで好きなように遊ぶ生活が続きましたが、
今当時を振り返ってみて、両親の死をおざなりにして、自分の好きなことをしていたなと思います。

忘れられたから楽しめていたけれど、忘れていたから失ったものもあります。

自分の境遇を言い訳にして、努力しなくていい、勉強しなくてもいいみたいな考え方でした。
   
でも、だからといって何もしなくてもいいわけじゃないですよね。

-ピアサポーターになるきっかけは? 

きっかけはいくつかあるんですが、残された自分の命の価値を考え始めたことですね。
    

自分の命って尊いんだなと感じています。

いつか自分が死んだ時に両親に「よくやったぞ」って言ってもらえるように生きたい。
というのが今の僕のモチベーションです。

あと、自分にしかできないことってなんだろうと考えた時に、
僕の痛みを同じ境遇の子どもに打ち明けることで、
力になれたらと思っています。

-ヤングケアラーに伝えたいこと

やりたいことをやっていいんだよ、と伝えたいです。
    

今は何か制限があってできないかもしれないけれど、
いつか自分の人生の舵をとれる瞬間はくるはずだから、

その時がきたら、やりたいと思ったことをやりきってほしいです。

そして、自分の人生を生きているんだという実感を得てほしいなと思います。
僕も今こうして、自分の辛かった経験の延長にいて、今が幸せです。

-今後の夢は?

普通の家庭を持つことが夢で憧れだったんですが、結婚をしてもうすぐ子どもも生まれます。

夢はもう目の前にきています。
でも、この夢は叶えて終わりじゃなく、毎日叶え続けるものだと思うんです。

自分にとっての「普通の家庭」をつくり続けたい。それが今の夢です。

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