2015.08.12 活動報告

「学校外の学びを応援する法律をつくろう 全国キャラバン!! IN 仙台 開催報告」 

七夕祭りでにぎわう中、仙台で全国に先駆けたイベントが開催されました。「学校外の学びを応援する法律をつくろう全国キャラバン」と名付けられたこのイベント。いま、超党派の議員連盟やフリースクール等が連携し、「多様な教育機会確保法」という革新的な法律をつくろうとしています。少し前に一斉にニュースで取り上げられたので、記憶にある方もいらっしゃるかもしれません。全国のフリースクールが加盟するNPO法人フリースクール全国ネットワーク(以下、フリネット)が中心となり、この法律への関心を高めたり、意見を吸い上げるために全国キャラバンを開始しました。

 

■進む少子化にも関わらず、不登校率は高止まり

 

この新法が成立することで最も影響を受けるのは、不登校の子どもや保護者です。「具体的にはどのような影響?」という疑問にお答えする前に、カンタンに日本の不登校の現状をおさらいします。

文科省が発表した2014年度の調査では、日本の不登校児童数は、約12万人。不登校発生率は、中学生2.80%、小学生0.40%で、少子化で児童数は減少しているにも関わらず、横ばい、微増傾向です。特に宮城県は、2012年度、2013年度に全国でもっとも不登校児童率が多い都道府県となり、さらに震災後に増加している傾向も見受けられます。

図1 不登校児童率の推移

 

■法案の背景にある、フリースクール利用者の増加と問題

 

このように最近注目を集めている不登校ですが、当然ここ最近ポッと生まれた現象ではありません。70年代半ば頃から増え始め、80年代半ば頃から親の会などを土台にして、民間のフリースクールも増加。2001年には、全国のフリースクール等をむすぶネットワークとして、フリネットが設立されました。

 文科省が201585日に公表したフリースクールに関する調査結果では、全国でおよそ500のフリースクールが存在し(半数はNPO法人が運営)、義務教育段階の約4,200人が利用していることが明らかになりました。フリースクールは、日本社会に着実に根づき、学校に行けない自分を責め続けた子どもが、自分だけじゃないんだという気づきを得たり、誰かに寄りそってもらうことで力を取り戻す場となっています。

しかし、フリースクールを取り巻く環境は厳しいものだったのも現実です。本来義務教育は無償ですが、子どもや保護者にとって、フリースクールを利用する経済的負担が決して小さいものではありません。また、二重籍といわれる問題も発生。籍は学校にあるものの、実際はフリースクールに通っており、それが出席日数として認められるのか、子どもが保護者や学校との板挟みになることもありました。一方のフリースクールにとっても、公的な支援が一切ない中、利用者の会費のみで運営していくのは困難で、寄付や助成金などを組みあわせて何とかやりくり。スタッフの待遇も、学校の先生と比べ物にならないほど低いものです。

 このような現状を変えようと、フリネットが中心となり、多様な教育機会確保法の前身となる法律の制定を働きかけてきました。遡ること15年。政権交代などの紆余曲折を経て、2015年度になってようやく国会への上程目前までたどりつきました。

 

■多様な教育機会確保法は、革新的であり、現状追認

 

それでは、多様な教育機会確保法がどのような内容なのか。平たく言えば、この法律によって、学校教育法に掲げられた一条校(いわゆる学校)以外で学ばせても、親が子どもの就学義務を果たしたことになります。これまで教育は学校でしか受けさせられなかったという状況から考えると、非常に革新的な法律です。具体的には、2015527日に開催された超党派フリースクール等議連と夜間中学等義務教育拡充議連の合同総会にて座長試案として提出されたポンチ絵をご覧ください。

図2 多様な教育機会確保法のポンチ絵 ※p2

何らかの事情で学校に行かなくなった子どもは、保護者と一緒に個別学習計画を作成します。ここで大切なのは、大人の価値観で学習内容を決めてしまわないよう柔軟な運用をすることです。

次に、個別支援計画は、市町村教育委員会で審査、認定されます。ここでのポイントは、教育委員会が直接審査をするのではなく、教育支援委員会という別機関で審査されること。そして、教育支援委員会には民間フリースクール等の人も入ることです。多様な教育を、「数学で○点以上をとる」といった狭義の教育に閉じられないよう、既存の学校関係者以外の視点が入ることは非常に重要です。

個別支援計画が認定されると、計画に沿って子どもたちが選んだ場所で学ぶことができます。そこにはフリースクール等の民間施設も入りますし、適応指導教室といった公的な支援施設もここに位置づけられます。最も特徴的なのは、自宅が選択肢に入ることです。これまでも不登校児童のかなりの割合が自宅で生活する子どもたちでした。そういった子どもたち、保護者も認められるようになることは、かなり大きな転換といえるでしょう。

また、フリースクール等を利用する家庭には、利用料を軽減する経済的な支援も検討されます。フリースクールを取り巻く経済的な問題については、先に述べた通りです。

今まで通り、学校に籍を置いたまま不登校であることを選択できることも補足しておかなければなりません。画期的な法律であるがゆえに「公教育が壊れる」、「既存のフリースクールの自由度が失われる」などさまざまな不安を感じられる方もいますが、この法律の基本的な考え方は、あくまで「現状追認」です。今まで公的な支援がなかった人たちを応援することがベースにあります。この法案が今国会で成立するかどうか。予断を許さない状況です。一人でも多くの市民に、不登校児童や保護者が抱える悩み、その悩みを解消する新しい法律に関心を持っていただき、法律の成立にチカラをかしていただけることをお願い申し上げます。

NPO法人アスイクとしても、7月から仙台駅東口にフリースクールを開設しました。不登校率が全国でも高い宮城県に新たな学校外のまなび場をうみ出すことで、不登校の子どもが抱える課題の解決に貢献してまいります。

 

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