2014.02.27 活動報告
「建築デザイン体験プログラム」を開催しました。
2月22日(土)、「建築デザイン体験プログラム」が行われました。
僕がインターン生として企画を担当してきた特別プログラムもこれで最後の実施となります。
今回、先生を務めていただいたのは仙台市内に事務所を構える、SOYsource建築設計事務所の櫻井一弥さんです。
僕が夏ごろ、プログラムの企画にあたり、子どもたちが体験したら面白そうな仕事を探していたところ、この「建築家」という職業に辿りつきました。
建築というのは、土地など与えられた条件下で、そこで人が生活し、学び、育つ姿をイメージして建物という一つの形にしていくというもので、
そういった「人の気持ちを考え形にしていく」という体験を子どもたちに体験させてあげられないかと考え、櫻井さんにお話をさせていただいたところ、講師を快く引き受けてくださいました。
さて、プログラムの内容に入っていきます。
元々このプログラムは2月15日、22日の2日間に亘り行う予定でしたが、1回目は大雪のために中止となり、2回分の内容を22日の一回で行うことになりました。
また、参加者の募集に苦労しましたが、4人の子どもたちが参加してくれました。
プログラムの始めに、先生の普段のお仕事を紹介してもらいました。建築家とはどのような仕事なのか、どんなことを大切にしているのかをお話していただきました。
「設計をするのは楽しいけれど、難しく、お客さんに気に入ってもらえないことがある。でも、自分の設計したものを気に入ってもらった時、実際に建物として完成した時の達成感がやりがいになっている」と先生。
小さい頃からいろいろなところに行くこと、見ること、体で感じることが大事だと子どもたちへのメッセージをいただきました。
続いて、早速作業に入ります。スチレンボードという板を使って、カッターやのりで切り貼りして、まずはリビングの模型を作ります。
先生の実演を見ながら学びます。
ただ切って貼るだけではなく、ボードの厚さを考慮して不要な部分は削るなど、空間図形の特徴の処理も必要になります。
難しそうな作業に子どもたちも困惑した表情を浮かべましたが、先生からコツを教わるとすぐに吸収。難なく進めていきます。
できた時の表情はとても嬉しそうでした。
また、子どもたちは使ったことのない道具に感動している様子。
中でも画材屋さんなどでしか手に入らない「スチのり」は人気でした。
休憩を挟んで、いよいよ間取りを考え、模型を作ります。
今回は部屋の形をしたブロックが予め用意され、自分で作ったリビングの模型も使いながら立体的な間取りを考えます。
子どもたちには、お客さんからの依頼が書かれた紙が配られます。家族構成や敷地の条件に加えて、「リビングは南向き」や「バーベキューをする場所がほしい」などの希望も書かれていました。
これらの条件の中で自由にブロックを組み合わせて間取りを考えます。
早速手を動かし始める子どもたち。黙々と進める子や、ああしようこうしようと進める子たち。
ある程度完成してくると、先生がアドバイスやダメ出しをします。
いくら自由とは言え、さすがに現実ではありえない構造はボツになります。
30分ほどで、完成。
最後に、自分の間取りを発表します。
「中庭を作って、そこでバーベキューをしたり、子どもが遊んだりできるようにした。」
「老後を考えて、一階建てにした。」
子どもたちの思い思いの発想が、説明する言葉と模型という形に表れていました。
では、4人の作品を軽く紹介しましょう。
一人目の作品。
こちらは条件をオーソドックスに反映した家となりました。綺麗な作りです。キッチンから庭にいってそのままバーベキューができるなどの工夫が凝らしてあります。本人もこんな家で暮らしたいと自信満々で紹介していました。
続いて2人目。
こちらは中庭が特徴的です。子ども部屋と繋がっているので、子どもが遊んだり、家族でバーベキューができるようにしたそうです。リビングに光も入ってくるというのもいいですね。
3人目。
3階建てで、庭を広くとってあります。テーマは「自由」。キッチンが3階にあったり、ふたを開けるとリビングにトイレがあったりします。独創的な作品です。
そして4人目。
ここで暮らす人の老後を考え平屋にしたそうです。これも綺麗な作りです。中庭を含めた3つの庭が特徴的で、用途によって使い分けができると話していました。廊下のブロックを切って使っているのも素晴らしい発想ですね。
発表が終わり、プログラムは終了。終始和やかな雰囲気で実施することができました。
作品は各自持ち帰り、余った道具を持ち帰る子もいて、家でやってみるとのこと。
喜んでもらえて良かったです。
さて、ここからは過去のプログラムも含めて総括したいと思います。
これまで実施してきた特別プログラムの中で、普段の学習会では見られない子どもたちの表情や発言がたくさん見られました。教室では静かにしていた子が積極的に自分の考え発表していたり、同じ教室に通いながらあまり話さなかった子たちが仲良くなったり、夢のなかった子たちが夢や目標を持つようになったり。
プログラムの企画から実施に至るまで、非常に長い時間を費やしました。もちろん企画は一筋縄ではいかず、子どもたちにより良い学びの場を提供する為に毎晩頭を悩ませ、配慮不足の部分はスタッフに叱られ、苦難の日々でした。
しかし、当日や後日、子どもたちの笑顔やいつもとは違う表情が見られた瞬間、何とも言い難い達成感がありました。この日のために自分は頑張ってきたんだと、ようやく答えに辿りついた気がします。
とは言え、反省点・改善点も多くあります。それらは、今後の自分の人生の中で活かしたり、また来年度以降のプログラム実施のために残したりすることができたらと思います。
これからもアスイクに通う子どもたちが教室や特別プログラムで様々なことを学び、夢を見つけたり、夢に向かって頑張っていく力を身に付けたりしてくれたら、何より嬉しいです。
彼らの将来を今後も応援し続けたいと思います。
(インターン 辻)