2017.03.14 お知らせ
【特集】 Volunteer Interview 第4回 網塚ゆり夏さん
将来の夢は特別支援学校の先生
‐アスイクにはどのように参加していただいていますか?
週1回、もしくは週2回、ボランティアという形で参加をしています。
子どもの勉強を一緒に手伝ったり、お話をしたりしています。アスイクに参加して8か月になります。
‐大学ではどんなお勉強をしているんですか?
将来、特別支援学校の教員になりたくて、小学生の先生の免許をとるための基礎を1年生で学んでいます。
2年生になってから特別支援の勉強が始まります。
‐いつから特別支援学校の教員を目指したんですか?
漠然と先生になりたいなとは中学生くらいから思っていましたが、本格的に将来について考えるようになったのは高校生になってボランティアに参加してからですね。
もとは小学校の先生になりたかったんですが、医療関係に従事する父を通じて、障害を持って生まれる子どもがいることや支援学校というものがあることを知って。
あとは祖母が昔の特別支援学級に勤めていたこともあり、支援学校の先生に興味を持ちました。
障害をもつ子どもたちもいろんなことを乗り越えて生きているんだなと知って、自分も決して器用な方ではないので、
そういう子たちを支えたいなと中学生の時に思って目指すことにしました。
実際にボランティアで接してみて、一層やりたいなと思うようになりました。
‐かなり早い時期に将来の夢が決まったんですね。
大きなきっかけになった、高校生の時に参加したボランティアについて聞かせてください。
高校一年生の夏に、青森の弘前市で全国障害者問題研究会という、障害を抱える子どもを持つお母さんたちが、障害に関する様々なお話を聞くという会があったんです。
その時に子どもを預かるというボランティアでした。
いろんな障害をもった子どもがたくさんいて、ボランティアも大勢いる中子どもの面倒をみていました。
初めて障害のある子どもに関わったんですが、ただただ「かわいいなあ」と思いました。
そのとき、一緒にボランティアとして参加していた大学生が積極的に関わっていて「あんな風になりたいな」と思ったのが今に至った一番のきっかけですね。
そのあとは単発で作業所へいってみたり、1日だけ特別支援学校に参加させてもらったりしました。
‐貴重な体験ですね。そこからなぜアスイクにつながったのか聞いてもいいですか?
大学に入ってからはたくさんボランティアに参加したいと思っていました。
アスイクとは別に週に1回特別支援学校に行っているのですが、ある日参加している先輩に「障害のある子どもに偏ってたらだめだよ」と言われました。
そういわれてみたら障害を持つ子以外の小・中学生にかかわったことがあんまりないなと思って。
そこでたまたま学校の授業内にアスイクの職員の方がボランティア募集をしに来て「よし、やってみよう」って軽い気持ちで参加しました。
‐アスイクに参加してみて、今まで接してきた子ども達と違うところってありますか?
以前は「障害のある子はかわいい」と思ってしまっていましたが、とある方が「障害のある子もない子もかわいさはそんなに変わらないよ」と言っていました。
言われたときは正直分からなかったんですが、実際にアスイクに来てみて、本当に変わらないなと。
みんなそれぞれ中学生ならではの悩みに真剣に悩んでいたりしますよね。勉強しなきゃならないけどしたくない。でもするしかない、とか(笑)。
将来について本当にそれぞれたくさん悩んでいたりするのが面白いし、とてもかわいいなと思います。
‐アスイクの活動を始める前と始めた後のギャップってありますか?
まずは「貧困」という言葉を聞いて「どんな子たちなんだろう」と最初すごく心配になりました。
みんなものすごく暗いのかな・・・とか。
でも全然違いました(笑)。みんな明るいし、変な言い方ですがみんな普通の中学生でした。
でも時々私立高校の学費の話とか、修学旅行のおこづかいの話になると、私が中学生の時と比べて「ちゃんとお金のこと考えているなあ」と思ったりはします。
あとは、子どもってただかわいいって思っていたんですが、ただ、かわいいだけじゃないと思いました(笑)。
例えば学校の先生もイラッとすることってあると思うんですが、それ以上に成長が見れたりして、それが嬉しくて頑張ろうって思うんだろうなって。
‐子どもに寄り添って本当にたくさんいろんなお話をしていますもんね。
今後もたくさん相談に乗ったり成長を見守ってほしいです。
子どもたちや、ほかの大人たちと関わることが楽しい
‐子どもたちと関わってきた中で特に心に残っていることってありますか?
私の誕生日が8月だということを知った時に、
ある女の子が「いつもありがとう。勉強とってもわかりやすいよ」と書いたメッセージをくれたのがものすっごい嬉しかったですね。
いつもありがとうとかあまり言わない子なので。帰り際にすっとさりげなくくれました(笑)。
あとは、ここに来る楽しさって子どもに関われるというのもあるんですが、
サポーターさんやアルバイトさんたちと関わるってこともあるんです。ほかの大学の方もいたりして。
誰に相談をしてもうまい返しをしてくれて、私を傷つけずにアドバイスをくれて、その上うまく褒めてくれて、いつもいい気持ちで帰れるんですよね(笑)。
高等テクニックだなといつも思います(笑)。
‐高等テクニック(笑)!
アルバイトさんのお話が出たのでちょっと聞きたいんですけど、アルバイトさんやサポーターさんから得られるものってどんなものでしょう?
まず、自分とは違う大学、学科で勉強している人と関わる機会が得られてお話を聞いていてとても新鮮です。
教育学部に通っていても、教員とは別の道に進もうと考えている方のお話を聞いたときはそのような道もあるのか!と驚かされました。
また、子どもたちと長い期間関わっている方だからこそ発見できた事実などを、振り返りの時間に聞くと刺激を受け、さらに子どもについて知っていきたいとも思います。
こうやって一所懸命関わってくれる大人がいて、子どもたちは幸せだなと思います。
アルバイトの方やサポーターさんには私自身、子どもと関わる上での悩みを相談しアドバイスをもらうことがあります。
その時でも私の意見を肯定し、その上でこうすればいいよという言い方をしてくれて
「悩みを聞いてもらって良かった」と思えます。
子どもは、元気の源!
‐子どもと接していて苦労したことってありますか。
ある子どもに「今日は勉強したぞ!」って思ってほしくていろいろ口うるさくしていたら、
だんだん私が行くと「また来たよ」って嫌がられるようになってしまって。
ちょっと言い過ぎたなと悩んだんですが、悩んでいても仕方ない!と思って、アルバイトの方に相談をしたら
「そういうことってよくあること。子どものことを思ってくれているからそうなるんだよ」って言ってもらえてすごく救われました。
大変なことがあった時は自分で抱え込むのが苦手なので誰かに相談をするようにしています。
もしくは、距離の取り方の問題もあるのかなと思うので、子どもと一度距離をおいてみたりもします。
ただ、男の子との距離感は難しいですね。私の妹が中3で、それもあって女の子との接し方はあまり不安はなく、みんな妹みたいにできるんですが・・。
勉強はいいんですが、雑談になると何を話したらいいかわからなくなります。
‐最初は苦労もしますよね。よくわかります。
アスイクにはいって新しく知ったことや、子どもと関わる魅力ってどこにあると思いますか?
子どもによってそれぞれやる気の向かっている方向が違うことを知ることができました。
すごく集中する子でも、本当はサポーターと話したいと思っていたり、
あまり勉強が好きではない子は「自分の苦手が何かわからない」「学校の授業がついていけなくなって勉強が嫌いになってしまった」など様々な事情があり、それぞれの対応が必要なのだと感じています。
そのことについて知ることができたのも、短い期間ですがアスイクで子どもと実際に関わることで得られたことだと思います。
あと、すごい言い方変なんですけど、私週に1回どこかで子どもと関わらないとものすごくストレスが溜まるんですよ(笑)。
「今週妙に疲れたな・・・」と思うときってボランティアにいってないときなんですよね。
子どもから元気ももらうし、ちょっとした成長が見たいし。自分が何かで得た達成感よりもずっと大きいなって。
‐パワーの源、ガソリンですね!(笑)
入ってから成長したなとご自身で感じることってありますか。
元々、初対面の人と話すのが苦手でした。
特に、子どもといるときと大人と話すときの自分のテンションが全く違うことにすごく疲れていたんです。
子どもには妙にハイテンションに対応していて、それが自分でもついていけなくなってました。
今は、そのまま子どもと接することができるようになったので、そこは成長したかな、って思います。
大人と関わる素の自分で子どもと関われるようになりました。
そのままでもいいんだ、って気づいて嬉しかったですし、子どもとの関わり方がちょっとわかりました。
子どもだからこう接しなきゃいけないっていうのはないんだなと。
例えば、友達とお互いを褒め合ったりすると思うんですけど、それって子どもも大人も変わらないんですよね。
ちょっとでも勉強ができたときに褒めてあげるとか。
子ども自身の成長を気づかせてあげるのは大事かなと思って取り組んでます。
‐成長に気づかせるために具体的にやっていることってありますか。
「さっきできてなかったけど、今できたよ!」とか言葉で伝えてあげるのがいいかなって思います。
自分で気づいていることもあるかもしれませんが別の誰かに言われたからより一層嬉しいってこともあると思うのでちゃんと言うようにしています。
褒めるとか成長を気づかせるとかそういったことが大切だということは、知識としては知ってはいたんですが、実際にやっているうちに「あ、今言えばいいんだ」「こういえばいいんだ」とか分かるようになりました。
子どもの反応は様々ですがみんなちょっと嬉しそうにしています。
大学に入るまではボランティアの経験もほとんどなくて、すべて「こうしたらいいのかな?」という予想で話をしていたんですが、こうして実際に経験してみて「まずはやってみなきゃな」と思うようになりました。
‐続けられる一番のモチベーションはなんですか?
子どもと関わることもそうですが、大人の方と関わって「こうなりたいな」と思ったり、大人の方に褒められることが嬉しいです。
‐網塚さんにとってアスイクとはどんな場所ですか。
元気をもらえる場所です。行かないと寂しくなります。
行って傷つくこともあるけどずっと続けたいと思える場所です!
‐参加しようか悩んでいる人に一言ください!
私も参加する前は不安だったんですが、アスイクは本当にみんな優しいし、勉強でわからないことがあったら周りに聞けるし、
得られるものが大きいので迷っていたら是非やってほしいですね。
やってないともったいない感じがします。
子どもにも大人にも刺激をもらえるので本当に参加してよかったです。
(聞き手:今井)
前3回はこちら
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